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人生の重要な決断に偶然が果たす役割を描くこの短篇で、最後の家族旅行というのにきまぐれな行動に走る女性たちを見るのはこの上なく爽快な体験だ。

濱口竜介やホン・サンス、オリヴェイラを思い起こすだけでは十分ではない。むしろこの家族に小津安二郎の面影を見出すべきではないか。

端正で簡潔な描写によって卓越する監督の永岡俊幸を日本映画の希望と呼びたい。

伊藤 洋司

(中央大学教授)

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何気ない1日の中にも人生のきっかけや転機はたくさん散りばめられているんだと、はっとさせられました。

 

永岡監督が描くゆったりとした時間の流れ。

その中でこの家族を見つめていると、日常の大切さに

気付けた気がする。出来事の大きさは関係ない。

自分の毎日を優しく振り返りたくなる。

そして、いつかこの日の事を笑い話にしている4人を

見てみたいと思った。

(俳優)

里内 伽奈

血のつながりが素直にさせてくれないもどかしさ。
最後だと決めた4人が眺める車窓には、過去と未来どちらが映っていたんだろう。
家族ってむずかしいけど、愛らしい。

(映画監督・グラフィックデザイナー)

東 かほり

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親類の結婚式の出席を兼ねて、家族旅行に出かけた

中年夫婦と成人した二人の娘。

それぞれ好き勝手なことを言い出して別行動、家族の気持ちはバラバラに・・・。

どんな家族にも起こりうる日常のなかのさざ波による

家族解体の危機。互いの差異を受け入れること、変容

する家族像と向き合うことで解体から再生へと向かう。

家族の絆を押し付ける熱苦しさのない、節度ある永岡俊幸監督の演出に好感がもてる。

そして、俳優陣のさりげなくコミカルで自然体の演技がドラマにリアリティを与えている。

(田辺・弁慶映画祭プログラミング・ディレクター)

掛尾 良夫

永岡俊幸&瀬戸かほの監督・主演コンビの前作『クレマチスの窓辺』と、幾分趣は異にするものの、これもまた“ヴァカンス映画“。

最後の家族旅行、人生の余白があってこそ、父も母も、そして娘2人も、慌ただしくて忙しない日常の再点検ができるのだ。

そんなことを悠揚と醸し出すのが、至極ステキである。


それからもう一つ。

今回プロデューサーも兼ねた姉役の瀬戸が、自ら声掛けしたという櫻井成美の“妹”ぶりが、ガチで血縁関係があるようにしか見えない!ホントに吃驚した‼

(映画活動家/放送作家)

松崎 まこと

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子どもが大人になると家族の中の距離感が変化する。

親子の距離感、夫婦の距離感。
けれど大人になったからこそ子どもから

親にきちんと伝えるべきこと、

夫婦の間で改めて伝えるべき言葉がある。
そんな日常の中に埋もれてしまいがちな大切なことに

そっと気づかせてくれた。

(映画監督)

玉木 慧

岩田家の4人はそれぞれが自身の幸福や将来、

あるいは仕事のことばかりに囚われている。

だけどひとたび家族という共同体に立ち返ったとき、

それぞれの相手のことを想像し、見つめ直しては自らの歩みを進めていく。
そもそも家族なんていつかは変容していくものであり、離散の対象にほかならない。

 

だからこそ終わりの始まりを予感させる『きまぐれ』のラストは、そんな彼女たち/彼のこれからを遠くから見守ることで、新たなる真摯な物語へと私たちを誘おうとしている。

(映画作家)

隈元 博樹

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